『ジョジョの奇妙な冒険』という漫画があります。
もう言わずもがな、語らずもがなの荒木飛呂彦先生の大人気バトル漫画ですが、幽波紋(スタンド)バトルとしてもうその人気は凄まじい。
ここの普遍的な面白さについては、もう割愛します。
ですが、なぜこんなに面白いのか?
そして少年時代には『大嫌い』だったジョジョを、大人になればなんでみんな面白いという評価に変わるのか。
そこら辺を徹底的に考察してみました。
僕は少年時代ジョジョが大嫌いだった
ジョジョが苦手な人って一定数います。
かくいう私もその一人で、10歳頃にジャンプでドラゴンボールを読んでいた時にはジョジョのページは必ず飛ばしてました。
理由は以下の3つ。
②絵が見づらい
③キャラクターが多いし、複雑
これ、ファンの方が見れば激怒しそうな内容ですよね(笑)
でも、今私は大ファンなわけです。
なぜか?
答えは簡単で『子供が理解できる内容じゃなかったから』です。
たったこの一点で、上記の3点を片付けることが出来る。
子供は単純明快で、悟空のような分かりやすい強さが好き。
ジョジョという作品自体が子供にはウケづらいのには理由があるわけだ。
なぜ大人になってジョジョを楽しいと思うのか?
ではここで疑問が生まれる。
『なぜ大人になればジョジョが急に面白くなるのか?』
この答えを示すものが、私の中であるんです。
荒木飛呂彦先生ご自身もインタビューで語ってますが、どのスタンドにも弱点があって長所短所がありますよね。
そこを突く戦い、しかも戦うステージや場所、人数もかなり変わる。
私の好きな三部のホル・ホースなんてコンビを組まないと戦わないとまで言って、逃げます。
ジョジョを読めばわかりますが、スタンド使いたちは『自分の能力』をひけらかすような真似をしません。
理由はファンの方は知ってる通り『自分の弱点を相手にさらけ出すことになるから』ですよね??
それってさ……。
『この私たちが生きている現代』と、明らかに通じてるよね?
誰が自分の弱点(仕事上の弱点や考えた方など)を平気でペラペラ言うんですかね?
例えば目の前に商談相手がいるとして、こっちの条件で商談を成立させたい。
しかし向こうも向こうの条件で商談を成立させたい。
そこに『交渉』という大人の妙技が生まれますよね。
その交渉をする際に、自分だけで商談成立させるんですかね??
違いますね。
場合によっては上司を誘ったり、第三者を読んで複数人で話したりします。
ジョジョがなぜ大人になって面白く感じるのか?
その答えは『社会の縮図があの漫画の中に溢れているし、それに気づくから』です。
私がジョジョを大好きな理由
個人的な意見ですが、一番感情移入してる所はどこかなと…大人になった今、再び読み返しました。
アニメを今観ていますが、面白すぎる。
僕はキャラクターが好きなのもありますが、一番気に入ってるのは『戦う場所』がとにかく面白い事に気づいた。
どんな弱いスタンドでも、絶対弱いわけはない。
ステージが変われば無敵になり得る。
これって、私たち社会で置き換えると……
営業マンは交渉は出来るが、開発は出来ない。
作家は文章は書けるが絵を書けない。
このような『シーンごとに強くなる』のが現代社会の活動です。
そう、大人になればみんな現実を知るんですよ。
『最強』なんてどこにも存在しないと。
完璧な人間なんてどこにもいないんだと。
だから、営業マンは飲食店での接待中に『……行きますか?』と小指を立てる。
ゴゴゴゴゴゴ……
『ステージ(キャバクラ)』を変えて相手との交渉をしやすく成立させる。
向こうが部長(スタンド)を連れて来るなら、こっちも同じような役職(スタンド)を呼ばないと交渉(戦うこと)すらできない。
林先生が著書の中で語ってましたが、交渉する時は1時間先に必ず席に着きましょうと。
理由は簡単で、交渉という緊張感を少しでも自分の中で緩和させる為にです。
例えば交渉の場所が、どっかの高級ホテル。
そんな高級ホテルに毎回行くような、場慣れしてる人ならいい。
しかし、僕が今高級ホテルに行ったら何するか分かりますか?
周りをきょろきょろ見渡して『すげーな!』と田舎者丸出しなわけだ。
交渉相手は『なんだコイツ』ってなりますよ(笑)
その瞬間に僕が何を話しても『かっぺの田舎もんが、本当に実現できるのか?』と舐められますね。
そんな人間が相手を自分のステージに引きずり込んで、交渉出来るのか?
ゴゴゴゴゴゴ…
否!
こういう苦い経験を社会人になって重ねると、戦う場所や人員配置等、自分には無理なことばかりが世の中を覆っている事に気づく。
だからジョジョが面白いと知るんです。
現実っぽい中のファンタジー。そこにシビれる!あこがれるゥ!
荒木先生のインタビューです。
ほんと、子供の頃は1mmも面白いと思わなかった漫画だけど、こんなに楽しいなんて……。
死ぬまでにジョジョを読めて私は幸せだ、と荒木飛呂彦先生に土下座しながら拝読。
しつこいですが、ジョジョは現実の中でファンタジーしてるのがたまらない。
僕も作家のはしくれとして、ジョジョの中のルールを一つだけ守ってる事があるんです。
『自分の能力(強さ)を簡単に相手には伝えない』
そりゃそうなんだよ。
当たり前なんだよ。
『かめはめ波!!』と伝えたらそりゃ盛り上がる。
だけど悟空を見ていても分かりますが、毎回毎回『瞬間移動かめはめ波!』とか言ってないでしょ。
さりげなくドラゴンボールも『ここ一番』の時以外は技名話さないことが多い。
普通、そうなるよ(笑)
当たり前やん、っていう所のリアリティを少しでも追及するなら、ジョジョやハンターハンターのようになるよ。
現実問題で『俺は●●建設営業部第一課!課長の●●だ!!!』とか叫んで名刺渡すのか?
『私、●●建設で営業部におります』と言って、さらりと名刺渡すだろう。
そこで相手が『あ、課長さんなんですね!』とかいう感じになるし、伝えるにしても『課長です』と一言だ。
ジョジョはそこら辺のリアリティとファンタジーの境目が秀逸過ぎて、キャラの魅力に繋がってると思います。
という感じで、ジョジョを読んでない人はぜひ読んで欲しい。
大人になった今こそ、読めば読むほど味が出てくるはずだから。