『あの人は天才だから』
『センスが違うね』
確かに天才という人種は居る。
しかし、なんでもかんでも『センスがいい』とか『天才だ』とかそれだけで片付けていいのでしょうか?
私は絶対に違う、と考えます。
というのも、小説家という人種が一つそうなんですけど……
作家というのは間違いなく『後天的』な所から大きくなります。
よく聞かれるのは『私は文章力が無い』だから作家になれないと切り捨てる人。
絶対に違う。
例えば『大学在学中に作家になりました』とか『京都大学ミステリーサークル出身』とか、そういう肩書を見てしまうと、若い時からやってるから成功したんだよな、と勘違いしちゃいますよね。
私はその正体をただの『年月』だと考えています。
例としてあげた『京都大学ミステリーサークル』という肩書をもっと崩して考えて見ましょう。
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なぜ作家は後天的な所が強い言えるのか?
『京都大学ミステリーサークル』出身の作家がいるから、作家なんて自分には無理だ。
これを分析してみます。
『京都大学ミステリーサークル』
・京都大学に入れる頭
⇒勉強という若い子が一番嫌いな物に対してストイックになれた結果
・ミステリーサークル
⇒おそらく幼少期から本を読む事が好きで、ミステリーが好きだから。
小さい頃から本を読む⇒想像力が豊かになる⇒頭が良い までセットです。
京都大学ミステリーサークル出身のプロ作家、を崩して考えたらたったこれだけです。
もちろん、『たったこれだけ』と切り捨てて書いていますが、たったこれだけが出来ない人間が99.999%なので、世の中では京都大学に行ける人間が少ないです。
私は三流の理系大学出身でしたが、京都大学の数学の問題を見た瞬間に頭がパーンなりました。
当時、数学の確率を勉強してたんですね。
先生から解け!考えろ!と浪人時代に言われて頑張ってましたが、無理なもんは無理となり。
予備校の先生に言われた言葉が『いちた、お前は試験当日に確率の問題が出ないように祈ってろ』と。
そんな私にとって、京都大学のミステリーサークルなんて宇宙人しかいないような場所だと思っています。
思っていますが、話の本題はここからです。
当たり前ですが、京都大学に入れたらプロ作家になれるわけでも、ベストセラー作家になれるわけでもありません。
必要なのはプロ作家としての作品の面白さと書き続けられる力、この2点な訳だ。
そして、京都大学ミステリーサークルというのに入る人間の特徴は二つだと考えます。
②①を作る為に、勉強をやり通してきた力
例えば宮部みゆき先生や、東野圭吾先生のような今を煌めく作家たちは、①の『凡人より卓越した頭脳』を持ってるかと言えばそうじゃない。
(実際お二方とも高学歴なので、卓越しているんですけどね!)
ただ、人より深く考えてそれを文章に落とし込むことが凄いわけですね。
そして②の『勉強をやり通してきた力』という物を考えてみるに、よほどの天才以外は中学校から勉強したとして6年、ないし7年は超真面目に勉強してきたわけです。
みんながゲームだの漫画だの、遊び呆けてる時に。
これをそのまま、20歳に置き換えましょう。30歳でもいいです。
20歳⇒27歳までずーっと小説書き続けて、ミステリーを考え続ける。
たったこれだけ。
たったこれだけで、京都大学ミステリーサークルの人に追いつけるはずなんです。
勉強という観点では難しいですが(英語だの数学だの国語だの教科も多いし、若い時より衰える所はあるから)、書くという行為だけをとってみたら絶対に追いついて追い越せます。
この事実をどう捉えるのか。
もう一度書きますね。
20歳から27歳まで、自分の時間のリソースを小説に注ぎ込んでパワーアップさせたら絶対にプロ作家になれます。
超簡単じゃないですか?
でも、誰も簡単に出来ない。
理由は至極明白です。
『眠い』
『ゲームしたい』
余暇を楽しみたいだの、恋愛したいだの、他の事に注力してるからしょうがないで片付けるから。
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後天的に上手く行った例を見て欲しい
私は林修先生の大ファンなのですが、著書の中で『僕の夢は作家でしたが、縁があってこうして本を書けて嬉しかったです』というようなことを述べています。
それと同時に『まさか自分がテレビに出るとは思っていませんでした。こういった場にはプロの方が沢山いらっしゃって、勉強になりますね』という事もおっしゃっています。
私たちは、普段林先生を見ていて『頭いい人だなぁ』とか『参考になるなぁ』と感じていると思います。
しかし、よく考えて下さい。
『さも当たり前に』テレビ出てますけど、あの人はテレビの素人なんですよ(笑)
芸人でも生粋のコメンテーターでもなんでもなくて、ただの素人の講師だった人ですよ。
(もちろん超人気講師でしたが)
そこら辺の塾に居る講師と、肩書としては大して変わらないんです。
それなのに『テレビに居るのが当たり前』のように私たちは受け止めている。
これって凄い事なんですね。
もっと噛み砕いて考えてみます。
林先生の経歴を簡単に書くと、東大出身で東進ハイスクールの講師ですよね。
じゃあ、塾の講師って何する人ですかね。
そうです、大勢の生徒の前で一生懸命講義します。
私なんかは大勢の前だと噛んだり、てんやわんやになりがちなのに凄いなと思います。
まずここで、林先生がテレビに出られた理由が1点分かりますね。
『大勢の前で話す事が出来る』が一点です。
では次ですが、林先生は素直な人なんです。
『業界には凄い人がいるなぁ、自分も勉強しよう』そう思ってテレビ業界に来れた人なんですね。
この『勉強しよう』という素直な心構えこそ、林先生が今もバリバリテレビに出てる明確な理由なんですよ。
『今でしょ!?』の一発屋で終わらないのは、林先生が『テレビ向けの話し方』とか研究してるとおっしゃってる通りなんです。
まとめると、林先生はテレビに出るのではなくて、テレビで『活躍し続けられる』基礎を持っていた人間なんですね。
明らかに後天的な物から、林先生はゴールデン番組を持つようになっています。
この事実を私は、強く受け止めます。
ご本人ですら『こんなことになるとは…』と驚いていたと書かれていましたが、後天的に勉強して努力してるからこそあそこにいるわけで。
もちろん、林先生が活躍されているのにはもっと色んな要素がありますよ。
スタッフへの対応とかもいいでしょうし、林先生の博覧強記な知識さが全てを支えていますよね。
だけど『テレビで活躍する』という事を、後天的に身に着けているというのは間違いのない事実なんです。
なぜ作家は後天的でいいのか?
作家なんて後天的になれます。
私はアマチュア作家なので説得力が薄いですが(笑)
私の周りのプロ作家の方は20代後半、30代に入ってから作家になってるなんて当たり前のようにいます。
むしろ10代の作家の知り合いが少ないです。
プロ作家の先生方は、口をそろえて『若い頃は本を読みなさい』『映画を観なさい』『表に出なさい』とおっしゃる。
↓私の愛読書です。プロ作家の人がアドバイスをくれる、五輪の書ですね。
こういった本を1冊買えば分かりますが、これが真理なんですよ。
もちろん、本のジャンルが『経済学』とかそういう専門的過ぎるのは別ですが、普通のファンタジーやミステリーやホラーに必要なのは10代の経験ではない。
ホラー作家なんて、どれだけ映画やら雑誌やらを読んで、インスピレーションを高めて、自分の世界観と融合させるかの勝負だと私は思っています。
こんなもん、後天的な事で後からいくらでも身に着けられる話なんですね。
むしろ10代の時なんて『ジェイソンこえええ!』くらいの表面でしか作品を観ないので、参考になりづらい所はありますよ。
(私は中学高校と毎日映画を見ていましたが、結局覚えてるのはマトリックスくらいなバカです)
大人になった今、映画を観てる時の方が、ずっと色んな事を考えながら観ている気がします。
文章力が無い、というのはやれば上達するだけの話です。
話が考えられないという人もいますが、それは『考えられない』じゃなくて『考え方を知らない』か『そもそも面倒臭がって考えようともしていない』のどちらかです。
私も何人かの方に『自分はストーリーなんて考えられない』と言われた事があります。
そんな時にはこう問いかける。
『あのさ、向こうにある車が今横転したら何が起きると思う?』と。
『大事故が起きるでしょ?』
『そう、事故るよね。乗ってる人誰だと思う?』
『車種からすれば……軽自動車だし、若い女かな?』
『うん、じゃあその子はどうなるの?』
『ちょっと横転したくらいじゃ死なないと思うけど……ってなんでそんな事聞くの?』
これだけで立派に想像できてるじゃないですか?
作家なんて、自分の妄想を書く場所ですよね。
人に読んでもらって恥ずかしいと思われる行為だと私は思っています。
『自分の考えた妄想を人に言うのが恥ずかしい』と思ってるから書けないだけなんですね。
想像する事は出来るじゃないですか、そうしたら誰だって文章が書けます。
これを直しさえすれば、後は努力次第でいくらでも作家になれる。
むしろなれないとおかしい。
林先生のように、基礎をしっかりと作った上で何かの方向に転身する事が、世の中では転職という言葉で表されています。
あれだって立派な後天的な才能じゃないですか?
Youtuberを見て下さい。
今第一線張ってる人間は、みんな20代過ぎてからやっていたりしますよ。
もちろん凄い努力をしてるから、トップを走り続けていますけど、継続して毎日勉強してる事に他ならない。
人よりも真剣に取り組んでるからこそ、遊ぶ暇のなくネタを考えたり、動画を撮影したり一生懸命な訳です。
日本語さえわかれば誰だってYoutuberになれるんですよ。
これを先天的な物だと思う人間は、いないはずです。
今、何かを目指している人は、継続こそ力なりと信じぬくことが問われているかもしれません。