『カマキリのメスは交尾した後にオスを食べてしまう』
という話はよく聞きますよね。
男を次々に滅ぼす魔性の女性を、メスカマキリなんて呼んだりするのもここからきています。
私も子供の頃、オスとメスのカマキリをしばらく虫かごの中で飼っていた記憶があります。
そしていつの間にかオスがメスに食べられていた…なんてことがあり当時はとてもショックを受けたものです(涙)
メスはオスを食べて卵の栄養にするとか、犠牲になってまで子供のために体を捧げるオスの愛情は素晴らしい!
などと説明されることがありますが、実際はそうではないことを知っていましたか?
私も驚きました。
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メスカマリキがなぜオスを食べるのか!?
なんと…メスカマキリはオスだと認識して食べているわけではないですし、オスもそもそも食べられる気は全くありません。
むしろ出来ることなら逃げたいのです!
では一体何故食べられてしまうのでしょう?
それはカマキリの識別能力がとても低いため。
目の前で動くものを、何でも餌だと認識してしまう習性を持っているからなのです。
交尾の時期、オスが放出しているフェロモンによってメスはオスを認識しますが、寄ってきたオスが不用意に動くと、メスはそれを餌だと勘違いして食べてしまうのだとか…。
勘違いで食べられてしまうオス…なんだかとってもかわいそうですよね。
そもそも、オスは交尾の際に精包と白い粘液をメスの体内に送り込みますが、この粘液には栄養分がたっぷり入っています。
メスは卵のためにわざわざオスを食べてまで栄養を摂る必要はないのです。
オスも出来ることなら多くの子孫の残したいですから、交尾の時に食べられてしまわないように命がけです。
メスに気付かれないようにそっと近付いて背中に乗り、細心の注意を払って交尾を済ませるのだそう。
なんとか食べられずに無事交尾を終えてほしいですが、オスが交尾時にメスに食べられてしまう割合は25%ほど。
ちなみに、オスを食べなかったメスのたまごよりも、オスを食べたほうのメスのたまごのほうが大きく、産卵量の差は2~3倍にもなるそうです。
たとえ食べられてしまったとしても、オスの死はただ単純にメスのおなかを満たすだけではなく、未来の子供達のための大事な栄養となっているのですね。
まるで自殺行為!?死と隣り合わせの交尾!
ちなみに交尾時にメスに食べられてしまうオスは、カマキリだけではありません。
ミツバチの交尾は空中で行なわれますが、この時精子を放出するとオスミツバチの性器は女王バチに引きちぎられてしまいます。
それによりオスミツバチはショック死してしまうのだとか…。
他にも有名なのはホタルでしょうか。
「ホタルはどうしてすぐに死んでしまうの?」と言われるように、成虫のホタルが生きられるのは10日くらいです。
ホタルのオスは無事に交尾をした後には草の陰でこっそりと土に頭を突っ込んで静かに死を待ちます。
また、コガネグモ科のクモのメスとの交尾も大変。
オスは交尾のためにメスの巣に入らなければなりませんが、メスはあまり眼がよくないのでうっかり勘違いをして食べられてしまいます。
タランチュラコモリグモという種類は、交尾をする前にオスを食べてしまうこともあるのだとか…。
こういった行動は交尾前性的共食い行動と呼ばれ、タランチュラコモリグモを含めたクモ全体の10~15%の種に見られると言いますから驚きですよね。
ある研究によると、交尾前にオスを攻撃して食べてしまうのは、交尾相手として理想的ではないとメスが判断した場合。
(獰猛なメスはどんなオスであろうと食べてしまうようです。)
こういった話を聞くと、人間に生まれてきて良かったなぁと思います。
ただ、命がけで子孫を残そうとするオスの生き方はとても考えさせられますよね。